コラム
福祉医療機構の金利状況
経済学において、物価が上昇するとき、国債金利を引き上げて、物価上昇を抑えるという伝統的金融政策があります。
今、消費者物価の上昇が進んでいることから、日本銀行は政策金利を上昇させる傾向にあるようです。
医療介護施設の代表的な資金調達先である福祉医療機構においても、貸出金利が上昇しており、設備投資、運転資金の借入時には、これまで以上に、検討が必要になっています。
建設費の高騰状況
福祉医療機構の調査によると、福祉医療機構が融資した病院、介護施設の建設単価は上昇傾向にあります。
病院・介護施設は「建設費があがっている、高い」と言われて久しいですが、データを見るとほとんど毎年値上がっており、10年前に、「高いなぁ」と思いつつ建替えをした病院・施設様でも、今振り返ってみれば、正解だったと言えるかもしれません。
建設計画 全体プロセスとパートナー
病院などの建設においては、基本構想、基本計画、基本設計、実施設計という流れで計画が作られ、実施設計の後、行政の建築確認を経て、実際の工事に入ります。
基本構想では、周辺人口の統計値など、大きな視点で病院の在り方を検討し、実施設計では、部屋のコンセント位置など、細かい1つ1つを検討するように、大きい話から、各論へと話が展開していきます。
病院建設計画は、複数年にわたる長期プロジェクトのため、プロジェクト担当者は、基本構想から続く流れを意識しなくなりがちですが、本来、基本構想にまとめられた理念や考え方は、実施設計の細かな1つ1つの選定に結び付くものです。
クリニックを開業しようと思い立ったら
クリニックを開業しようと思い立ったとき、まず何から始めたらいいのか? となるのが通常です。
クリニック開業の本は出版されていますし、セミナーも全国各地で開催されています。(ただしコンサル営業付き)
また、開業をした先輩後輩から、話を聞くこともできるでしょう。
ご自身で勉強されるのは重要なことですが、開業コンサルや知見ある税理士などに委託し、ある程度の実働は任せることをお勧めします。
理由は次の2点です。
①クリニック開設は投資額が大きいので、失敗リスクを抑えるため専門家の力を借りる。
②開業主となる医師本人は給与が多いので、開業する直前まで給与を得ているほうが経済的。
ただし注意点もあります。
①コンサルを頼めば費用がかかる。(逆に無料は怪しい)
②機器メーカー等に近すぎるコンサルは、高値で機器を買わせることもある。
コンサルに頼むメリットは大きいですが、上記の注意点もあるので、ある程度の知識はつける、資金管理は自分でする、別ルートの専門家との関係づくり、という準備ができると、より良いでしょう。
関係者と取引全体像
クリニック開業を計画、検討をはじめると、様々な関係者との協議、調整が必要になります。
図のように多数の関係者がいますので、特に取引金額が大きいお相手については、ご自身の目で、信頼できる知人の方の目で、しっかり見極めることが大切です。
PMIはM&Aだけの話ではない
PMI(Post Merger Integration)は、一般的にはM&A後の組織統合を意味します。
しかし、実務をしていて、PMIの本質は「組織を新しい環境に適応させること」にあると考えています。
M&A後はもちろんですが、病院の建替え、新院長の就任、経営改善の実行など、経営環境が大きく変化する場面では同じことが求められます。
新しい方針を示しても、組織は自然には変わりません。従来のやり方を見直し、時には長年放置せざるを得なかった問題に向き合うことも必要になります。
経営改善の現場で、「計画そのもの」よりも、「実行する覚悟と継続する行動」の方が高い業務負荷が求められます。変化の必要性を理解していても、実際に組織を動かすことは簡単ではありません。
法人の交際費 経費判定
事業を経営していると、関係者との会合など、飲食をともにしたり、贈答を送ったりすることがあります。
交際費が税務上の経費(損金)になるかについては、飲食1万円や、年間総額800万円などの数値が規定されていますが、制度の全体を整理すると図のようになります。
なお、この図は法人(医療法人)を対象にしており、個人開業の方については、その交際費が事業に関係するものであれば、金額の基準は無く、損金となります。
人事考課、職員面談
年に2回か1回くらいは、スタッフと面談をするクリニックもあると思います。
病院の場合は、人事考課制度として制度化されていることが多いですが、制度として整備されていても、いなくても、大切なことは、スタッフと定期的に腰を据えて意見交換することです。
院長や経営幹部の方が、スタッフと定期的に個別を面談し、日々の悩みごと、気になっていること、改善点を傾聴し、経営に反映できれば、雇用主も働く側も改善できる機会になります。
投資には金利も重要
建物整備などの大規模投資においては、投資額をどこまで削減できるか、は重要なテーマです。
他方、資金調達は、メインバンクなどと相談し、間違いなく融資してもらえることに視点がいきがちです。
しかし、金利が上がっている昨今、調達金利や返済スケジュールは、支払う利息総額に大きな影響を与えるため、よく検討する必要があります。
金利は何パーセントか、変動か固定か、何年返済とするか、据置期間は設定するか?は、取引相手の銀行だけでなく、顧問税理士などの第三者にも相談すると良いでしょう。